緊急時の遺言
緊急時の遺言 ~ 死期が迫っているとき
「ケガや病気のために、もうすぐ死が訪れようとしている! 遺言を書かなくては・・・
でも、自分で書こうにも、起き上がることも手を動かすこともできない。公証人に来てもらう猶予はない。」
そのときあなたはどうしますか?
遺言書を準備しないうちに、不運にもこのような状況になってしまったら。
そんなときの遺言が、「一般危急時遺言」あるいは「死亡危急者遺言」といわれる、特別方式の遺言です。
いわば、最後の手段としての遺言です。
死亡危急者遺言 作成の流れ
死亡危急者遺言(一般危急時遺言)とは・・・
- 病気その他の理由により、臨終が間近に迫っている者が遺言するとき、
- 証人3人以上の立会いで、
- 証人のうち1人に遺言の趣旨を遺言者が口頭で述べて、その証人に筆記させる
- 筆記した証人が、その内容を遺言者と他の証人に読み聞かせ、または閲覧させる
- 証人全員がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名して印を押す
- 遺言の日から20日以内に証人のうちの1人または利害関係人(相続人など)から家庭裁判所に確認の請求をする
- 家庭裁判所はこの遺言が遺言者の本当の意思によるものであるとの心証を得ることができれば、これを確認します。
作成にあたって留意することとしては、
- 証人を少なくとも3人頼むこと。
- まちがいなく作成するため財産の特定をしておくこと。不動産の登記簿謄本や預金通帳、株式の明細書などの準備をすることです。
遺言者との関係がわかる戸籍謄本もあればさらにいいと思います。 - 遺言後には、遺言者が生存してもしていなくても、20日以内に家庭裁判所に確認の請求を行わなければなりません。
死亡危急者遺言か公正証書遺言かの選択
病気などで入院している方の遺言は、公証人に出張してもらい公正証書遺言を作成するか、「死亡危急者遺言」を作成するか、のどちらかになります。
入院はしているが死の危機が迫っていない場合は公正証書遺言にすべきでしょう。それが一番確実で手続きが簡易な遺言方式なのですから。
公証人に来てもらう猶予もないほど容体が重篤で、早急に遺言を作成しなくてはいけない緊急性があれば、「死亡危急者遺言」を作成します。
遺言の証人には誰がなる?
次のような人は証人にはなれません。
それ以外の人は、誰でも証人になることができます。
- 未成年者
- 相続人になる者、遺言で財産をもらう者、これらの者の配偶者や直系血族(親や子ども)
- 公証人の配偶者や四親等以内の親族、書記および使用人
- 証人の例(遺言者の子どもが相続人の場合)
- 遺言者の兄弟姉妹(ただし相続人になる人や遺言書で遺産をもらう人はなれない)
- 医師・看護師
- 友人・知人
- 専門家(弁護士・行政書士など)に依頼する
死亡危急者遺言 作成のあとにすること
遺言者が亡くなって相続が始まったら → 家庭裁判所で検認の手続きをしなくてはいけません。
容体が幸運にも回復したら → 公正証書遺言や自筆証書遺言のような普通方式によって遺言をすることができるようになったときから6ヶ月間生存していれば、特別方式の遺言の効力はなくなります。
特別方式は臨時の遺言方式で、普通方式でできるようになったら普通方式の遺言で、ということでしょう。
当事務所では、死亡危急者遺言のご相談も承ります。
容体が重篤な状況になり、早急に遺言を作成しなければならないご事情の方がいらっしゃいましたら、どうぞご相談ください。
できるかぎりのことはさせていただきたいと考えております。
早朝・夜間(7:00~20:00)もご連絡を受け付けます。
ご連絡は 050-1146-5465 まで。