遺言書がある相続
遺言書があるときの相続
遺言書があるときの相続手続きの流れについて。
遺言者が亡くなった日 = 相続開始日です。
遺言書がある場合、相続の手続きはどのようになるのでしょうか。
遺言書の中に「遺言執行者」が定められているときは、遺言執行者に連絡しましょう。就任を承諾してもらえれば、遺言執行者が、遺言書に書いてあることを実行してくれます。
遺言執行者が定められていなくても、家庭裁判所に請求して、選任することができます。請求時に遺言執行者候補者を提示することも可能です。
公正証書遺言と自筆証書遺言ではどう違うのでしょうか。代表的な相続手続きである不動産の名義変更を例に挙げて、概要をみていきましょう。
公正証書遺言があるときの相続手続き
すぐに相続手続きを始めることができます。
不動産名義変更の標準的な必要書類は、
- 遺言書
- 固定資産評価証明書
- 遺言者の死亡時の戸籍謄本
- 遺言者の死亡時の住民票
- 不動産を相続する人の現在の戸籍謄本
- 不動産を相続する人の住民票
となります。
自筆証書遺言の場合や遺言書そのものがない場合とくらべて、「亡くなった人の出生から死亡までの全戸籍謄本」をそろえる必要がないので、書類収集にあまり時間がかかりません。
注意点としては、遺言者が死亡しても遺言書の存在を公証役場が知らせてくれるわけではないので、公正証書遺言といえども、遺言書があることを遺言者が誰にも知らせていなければ、発見されないままになるおそれがあるということです。
自筆証書遺言があるときの相続手続き
*遺言者の死亡=相続開始
封筒の中に遺言書を入れて封をしている自筆証書遺言は、まだ開封してはいけません。家庭裁判所で相続人等立会いのもと、開封することとなっています。
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*家庭裁判所に検認の申立て
検認の概要については、裁判所のウェブサイトに詳しく記載されています。
申立て先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
【申立ての費用】 収入印紙800円・連絡用郵便切手(通数により代金が違う)
【申立てに必要な書類】
- 遺言者の出生から死亡までの全戸籍謄本のほか、すでに死亡した相続人がいる場合には相続人を確定するためのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の当事者目録(相続人全員の本籍・住所・氏名・生年月日を記載したもの)
- その他、裁判所が指示した書類
※戸籍謄本類はすべてコピーを提出して、原本を返還してもらいましょう。後日相続手続きのとき必要となるものもありますし、何より相続関係を示すものとして大切な書類です。再度戸籍を収集するとなると時間と費用がかかります!
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*家庭裁判所から各相続人への通知
申立て後、家裁から連絡があり、その後検認期日の日程と案内の通知が郵送されます。
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*家庭裁判所での検認手続と検認済証明書の取得
通知された日時に、申立人と他の相続人(全員が揃わなくてもよいとのことです)が出席して、裁判所で検認手続が行われます。このとき持参するものは、遺言書のほか、あらかじめ通知されています。
検認終了後は、「検認済証明書」をもらっておきましょう。相続手続きには裁判所が発行する検認調書か、検認済証明書が必要です。これがなければ、自筆証書遺言だけでは相続手続きができません。検認済証明書の費用は、1通150円の収入印紙代です。
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*相続手続き
不動産名義変更の標準的な必要書類は、
- 検認ずみの遺言書
- 検認調書または検認済証明書
- 固定資産評価証明書
- 遺言者の死亡時の戸籍謄本
- 遺言者の死亡時の住民票
- 不動産を相続する人の現在の戸籍謄本
- 不動産を相続する人の住民票
となります。
自筆証書遺言の相続手続きは公正証書遺言と違い、検認申立ての時に「亡くなった人の出生から死亡までの全戸籍謄本」ほか相続人を確定する戸籍謄本すべてをそろえる必要があるので、遺言書そのものがない場合と同様に、書類収集に相当の時間がかかります。
預金口座の相続手続きの場合、銀行によって、提出を求められる書類が違います。一般に、遺言執行者を定めておけば、書類は少なくて済むようです。
自筆証書遺言を遺言書にする場合はとくに、相続人の負担を減らすために、遺言の内容を実行する人=遺言執行者を定めておくことをおすすめいたします。
手続きに手間はかかりますが、それでも遺言書を作成することによって、遺産分割協議書作成の手間は軽減されます。円満な相続が行われるよう、当事務所がお手伝いさせていただきます。
遺言書で指定している財産を受取りたくないとき
法的に有効な遺言書があるときは、相続は遺言書のとおりに行われます。
遺言者の意思を実現する・・・それが遺言書なのです。
が、「A不動産をBに相続させる」と書かれてはいるけど、Bさんは、そんなものはいらないから相続したくない。・・・そんなことが可能なのでしょうか?
この場合、Bさんは、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすれば、相続人ではなくなりますので、A不動産をはじめ全遺産の相続権を失ってしまいます。これが、「相続させる」ではなく「遺贈する」であれば、遺贈の対象の財産受け取りだけを、Bさんは拒否することができます。
また、相続人全員が合意すれば、遺言書の内容を遺産分割協議して遺産を別の分け方にすることも可能です。ただしこの場合に遺言執行者が定められているときは、遺言執行者の承諾が必要だと考えられています。
いずれにしても、遺言を作る方も、相続人の個々の事情を考慮しながら、最適な遺言書を作成するようにしないといけない、ということですね。
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森光行政書士事務所